(ハリボテ)

目を開けたら
君と行った海への電車の中だった
君はまだ僕にべったりと
暑いのに腕を組んで笑いかける
僕はこの結末を知ってる
見たくないんだけど
君の今僕に向ける笑顔にまどろんでいたい


もしもこのまま時が戻ってね
このままずっと居れたらね


僕は泣いちゃって
君はどうしたのと困り顔
抱き締めてくれる君は
もう居ないのに君は
僕を抱き締めて笑うから



僕はただ訳も分からず泣いたんだ
ここがどこでもいいんだ 例えば地獄の果てでもね
確かに 確かに苦しいよ
死んでしまうほど苦しいよ
まばたきしたら消えてしまいそうで
柄にも無く 手をつないでいようと言った
君は本当に嬉しそうだった
海を眺めたってね
一緒に高台に上ったってね
僕は今まで見た事の無かった
君を見てるので精一杯



君は嬉しそうに恥ずかしそうに
僕を見るの
それに重なる最後の顔はね
君と僕の最後の顔は「    」
もう、いいよ
ありがとう
最後に一つだけ
キスをしようとして
瞼 つむったら
君は消えたんだ
僕はまたうずくまる