友達

君がバカみたいに明るいのは
辛くて仕方ないからだってわかってる
僕がバカみたいに暗いのは
幸せで仕方ないからだよわかってる

帰ったら寝る布団があって
ボタン一つ押せば暖かいお風呂ができる
魚は餌を求めて僕を急かすだろうよ
夜に声を求めてくれる人がいるよ
旅行に誘ってくれる人がいるよ
抱きしめてくれる人がいるよ

それでもビルの隙間から伸びた空が
どうしようもなく怖くて
全部の窓が怖くて
今日自分が消費したものが怖い

君はどうしようも無いって笑うだろうか
それとも僕を撫でるだろうか?
答えはどちらでもないこと
それだけはわかってる
求めているのはどちらでもないこと
それだけをわかってる

気付くのはいつも去るときで
落ち込んでくれるのも怒ってくれるのも嬉しいよ
でもそこは僕がいないジオラマ

作り込まれた背景に
幸せな僕が溶け込んでいるのに
僕はそれを覗いてる
僕はそれを覗いてる

二度と抱きしめられないのは
何も遮らないからだ
被膜が剥がれたからなんだ

君がいる
それでも君がいるよ